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夏白菊(ナツシロギク)はキク科ヨモギギク属の多年草である。
原産地は西アジア、バルカン半島である。
ヨーロッパや北アメリカに帰化し、野生化している。
草丈は30~100センチくらいである。
葉は羽状に深く裂ける。
開花時期は5~7月である。
花径1~2センチの菊に似た強い芳香がある白い小花をたくさんつける。
園芸品種には八重咲きや白と黄のポンポン咲きのものなどがある。
ハーブとしても利用され、疲労回復などの効果がある。
また、駆虫薬としても使用される。
別名をマトリカリア(Matricaria)という。
これは古い属名に由来する呼称である。
写真は7月に東京都薬用植物園で撮った。
学名:Tanacetum parthenium
★菊の香を辺り一面漂わせ
夏白菊は煌くように
花図鑑
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姫海芋(ヒメカイウ)はサトイモ科ヒメカイウ属の多年草である。
北海道と本州の東北地方(福島県を覗く)及び中部地方(長野、富山)に分布し、低地や山地の水湿地に生える。
環境省のレッドデータブックでは、「現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては『絶滅危惧』に移行する可能性のある種」である準絶滅危惧(NT)に登録されている。
草丈は10~30センチくらいである。
根茎は横に這う。
根際から生える葉は心形で、長い柄がある。
開花時期は6~7月くらいである。
仏炎苞(サトイモ科の肉穂花序に見られる花序を被う大形の苞)は白く、幅の広い卵形である。
花序には花被はない。
花序のほとんどが両性花で、先だけに雄性花をつける。
水芭蕉(ミズバショウ)を小型にしたような花である。
写真は8月に志賀高原の東館山高山植物園で撮った。
学名:Calla palustris
★水芭蕉思わすような姫海芋
小さく咲いてどこか可愛く
花図鑑
夏椿(ナツツバキ)はツバキ科ナツツバキ属の落葉高木である。
本州の宮城県から九州にかけて分布し、山地に生える。
また、寺の敷地内に沙羅双樹(サラソウジュ)として植えられることが多い。
仏教では釈迦が沙羅双樹の下で涅槃に入ったとされている。
日本では夏椿(ナツツバキ)がこの沙羅双樹(サラソウジュ)と誤認されたという。
海外では、朝鮮半島の南部にも分布する。
樹高は5~15メートルくらいである。
樹皮は紅色を帯びており、平滑である。
葉は楕円形で、互い違いに生える(互生)。
開花時期は6~7月である。
葉の脇に花径5~6センチの白い花をつける。
花弁は5枚である。
花弁には皺があり、外側の1枚は緑色を帯びる。
雄しべはたくさんあり、花糸は黄色い。
花は一日花で、咲いた後は花の形そのままで木の下に落ちる。
別名を沙羅樹(シャラノキ)という。
俳句では「沙羅の花」が夏の季語である。
写真は6月に川口市立グリーンセンターで撮った。
学名:Stewartia pseudo-camellia
★一日の命なればと白き肌
風にそよがせ夏椿咲く
花図鑑
谷桔梗(タニギキョウ)はキキョウ科タニギキョウ属の多年草である。
北海道から九州にかけて分布し、山地の川岸や湿った林の中などに生える。
草丈は10~15センチくらいである。
葉は卵円形で、互い違いに生える(互生)。
葉の表面には柔らかい毛が疎らに生え、縁には粗いぎざぎざ(鋸歯)がある。
開花時期は4~8月である。
茎先や上部の葉の脇から短い柄を出し、先に長さ5~8ミリくらいの小さな花を上向きにつける。
花の色は白く、花冠は鐘形で5つに深く裂ける。
雄しべは5本である。
雌しべの柱頭は3つに裂ける。
写真は7月に尾瀬で撮った。
学名:Peracarpa carnosa var. circaeoides
★目を凝らし見てもはっきりその姿
とらえきれずに歯軋りをして
花図鑑
泰山木(タイサンボク)はモクレン科モクレン属の常緑高木である。
漢字では「大山木」とも書く。
原産地は北アメリカである。
日本へは明治時代の初期に渡来し、公園木などとされている。
樹高は10~20メートルくらいである。
幹は直立し、枝も葉も密に茂る。
樹皮は灰褐色で滑らかである。
葉は長い楕円形で、互い違いに生える(互生)。
葉には柄があり、長さ15~25センチ、幅5~10センチと大形である。
葉の表面は濃い緑色で艶があり、裏面は暗い褐色でフェルトのように細かい毛が生えている。
葉の質は革質で、縁は裏側に反り返る。
開花時期は6~7月である。
大輪のクリーム色の花で、ほどよい香りがある。
花径は50~60センチくらいあり、日本の樹木の花としては最大である。
花冠は杯状である。
普通は花弁が6枚、萼片が3枚あり、9枚の花びらがあるように見える。
ただし花弁の数は一定しておらず、9~12枚になることもある。
花冠の真ん中には、たくさんの雄しべと雌しべが集まって円錐状についている。
花の後にできる実は袋果(熟すと果皮が自然に裂けて種子を放出する)の集合果である。
俳句では「泰山木の花」が夏の季語である。
写真は7月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。
学名:Magnolia grandiflora
★すくすくと伸びて彼岸へ繋がるや
泰山木の花は香りて
花図鑑
匙面高(サジオモダカ)はオモダカ科サジオモダカ属の多年草である。
北海道から本州の中部地方にかけて分布し、水田や池沼などに生える。
海外では、朝鮮半島や中国の東北部にも分布する。
草丈は50~80センチくらいである。
根際から生える葉には長い柄があり、楕円形(さじ形)である。
葉の縁にぎざぎざ(鋸歯)はない。
開花時期は6~10月くらいである。
輪状に枝分かれして、小さな白い3弁花をたくさんつける。
塊茎を生薬で澤瀉(たくしゃ)といい、利尿剤などに用いられる。
写真は7月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。
学名:Alisma plantago-aquatica var. orientale
★面高を区別するのはむずかしい
どんな葉なのか覚えていこう
花図鑑
クリナム・ポーウェリーはヒガンバナ科ハマオモト属の多年草である。
19世紀にイギリスで作出された種間交配品種である。
種子親はロンギフォリウム種(Crinum longifolium)、花粉親はムーレイ種(Crinum moorei)で、どちらも原産地は南アフリカである。
作出したPowell氏の名が種小名の由来となっている。
なお、種小名の片仮名表記は、「パウエリー」や「ポエリー」なども見られる。
草丈は1~2メートルあり、大型である。
根際から生える葉は線形である。
開花時期は6~7月である。
長さが10センチくらいある大きなピンクの花を一度に10輪くらいつける。
花は平開はせず細長い花筒となることが多い。
花の色は、白花の園芸品種(cv. Album)もある。
写真は7月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。
学名:Crinum x powellii
★大きくて驚くような姿だが
花は開かず傷みも早く
花図鑑
丸葉下野(マルバシモツケ)はバラ科シモツケ属の落葉小低木である。
北海道から本州の関東地方北部にかけてと白山に分布し、高山の岩場や林の縁に生える。
樹高は30~100センチくらいである。
盛んに枝分かれをして、こんもりと茂る。
葉は幅の広い卵形で、互い違いに生える(互生)。
葉の形には変異が多い。
葉の縁には重鋸歯(大きなぎざぎざに更に細かなぎざぎざがある)がある。
開花時期は6~7月である。
枝先に複数の散房花序(柄のある花がたくさんつき、下部の花ほど柄が長いので花序の上部がほぼ平らになる)を出し、花径7ミリくらいの小さな白い花のかたまりを密につける。
1つ1つの花は花弁は5枚である。
雄しべは5本で、花弁より長く伸びている。
花序(花のかたまり)は直径5~10センチくらいになる。
写真は6月に北大植物園で撮った。
学名:Spiraea betulifolia form. glaucina
★こんもりと白い花びら寄せ集め
丸葉下野群れなし咲いて
花図鑑
照葉野茨(テリハノイバラ)はバラ科バラ属の落葉低木である。
福島県以南の本州から沖縄にかけて分布し、日当たりのよい山野、川原、海岸などに生える。
野茨(ノイバラ)によく似ているが、葉が厚くて艶があり、無毛であるなどの違いがある。
また野茨(ノイバラ)の茎は立つが、照葉野茨(テリハノイバラ)は地を這って伸びる。
樹高は20~50センチくらいである。
葉は奇数羽状複葉(鳥の羽のように左右に小葉がいくつか並び、先に1つの小葉がついて1枚の葉が構成される)で、互い違いに生える(互生)。
小葉の形は楕円形ないし幅の広い卵形である。
先は尖り、縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。
葉には艶があり、毛は生えていない。
開花時期は5~7月である。
枝先に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、次々に開く。
花の色は白ないし淡いピンクである。
花径は2~3センチぐらいである。
花びら(花弁)は5枚ある。
花の真ん中には黄色い雄しべがたくさんある。
写真は7月に国営ひたち海浜公園で撮った。
学名:Rosa wichuraiana
★真っ白な花が目立つよ葉っぱもね
照り輝いて命を謳い
花図鑑
令法(リョウブ)はリョウブ科リョウブ属の落葉高木である。
北海道南部から九州にかけて分布し、山地に生える。
また、庭木ともされる。
海外では、済州島にも分布する。
樹高は8~10メートルくらいである。
葉は枝先に集まってつき、細長い楕円形で周辺に鋭いぎざぎざ(鋸歯)がある。
樹皮がはがれやすく、幹は滑らかである。
開花時期は7~8月である。
枝先に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、白い小さな花を密生させる。
花径は5~6ミリで、花冠は5つに深く裂ける。
蜜をたくさん出し、訪れる昆虫も多い。
花の後にできる実は扁球形のさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)で、褐色に熟する。
材は床柱や器具とする。
若葉は山菜とされる。
写真は6月につくば植物園で撮った。
学名:Clethra barbinervis
★むせ返る暑さものかわ咲き出づる
令法の花に蜜を求めて
花図鑑
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