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細葉柊南天(ホソバヒイラギナンテン)はメギ科ヒイラギナンテン属の常緑低木である。
原産地は中国である。
日本へは明治時代の初期に渡来した。
樹高は1~2メートルである。
葉は奇数羽状複葉(鳥の羽のように左右に小葉がいくつか並び、先に1つの小葉がついて1枚の葉が構成される)で、互い違いに生える(互生)。
小葉の形は細長い楕円形である。
小葉の縁には先が棘状に尖ったぎざぎざ(鋸歯)がある。
近縁種の柊南天(ヒイラギナンテン)に比べて葉が細いのが名の由来である。
開花時期は9~10月である。
葉の脇に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、黄色い小さな花をたくさんつける。
花弁のように見えるのは萼片である。
花弁は萼片の内側にある。
実は球形の液果(果皮が肉質で液汁が多い実)で、翌年の2~3月に藍色に熟する。
柊南天(ヒイラギナンテン)とは開花時期、結実時期が異なる。
属名の Mahonia はアメリカの植物学者「マホン(B. Mc. Mahon)さん」にちなむ。
種小名の fortunei は東アジアの植物採集家「フォーチュンさんの」という意味である。
写真は9月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。
学名:Mahonia fortunei
★秋に咲く柊南天あるのだと
樹木の不思議肌で感じて
花図鑑
植物図鑑
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長実の蔓黄華鬘(ナガミノツルキケマン)はケシ科キケマン属の越年草である。
分類体系によってはケマンソウ科とされる。
別名を長実の蔓華鬘(ナガミノツルケマン)ともいう。
北海道から九州にかけて分布し、山地の林の中や林の縁などに生える。
海外では、朝鮮半島、中国東北部、東シベリアなどにも分布する。
環境省のレッドリスト(2007)では、「現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては『絶滅危惧』に移行する可能性のある種」である準絶滅危惧(NT)に登録されている。
茎は蔓状に長く伸び、100~150センチくらいになって他の草にもたれかかる。
葉は2~3回3出複葉である。
3出複葉というのは、1枚の葉が3つの小さな葉に分かれた形のことである。
2~3回枝分かれを繰り返し、それぞれの先に三つ葉をつけて1つの葉となる。
小葉は3つに深く裂ける。
開花時期は8~10月である。
葉の脇から柄を出して、緑色を帯びた黄色い花を疎らにつける。
花の長さは2センチくらいある。
花の後にできる実は莢が細長いさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)で、種子が1列に並ぶ。
属名の Corydalis はギリシャ語の「korydallis(ヒバリ)」からきている。長い距のある花の形から連想して名づけた。
種小名の ochotensis は「オホーツク地方の」という意味である。
種小名の raddeana はシベリア植物の研究者「ラッデさんの」という意味である。
写真は10月に軽井沢町植物園で撮った。
学名:Corydalis ochotensis var. raddeana
★ちょっと見は見逃しそうな花だけど
じっくり見れば何と可愛い
花図鑑
植物図鑑
丁字菊(チョウジギク)はキク科ウサギギク属の多年草である。
日本固有種である。
本州の日本海側と四国の剣山に分布し、低山から亜高山にかけての湿った草地に生える。
和名の由来は、フトモモ科の丁字(チョウジ)に似ることからきている。
別名を熊菊(クマギク)という。
これは、毛の多いことからつけられた名である。
草丈は30~90センチくらいである。
茎は束になって生え(束生)、上部には白い縮れ毛が密生する。
地下茎は横に這う。
葉は長い楕円形で、向かい合って生える(対生)。
葉には柄はなく、縁には粗いぎざぎざ(鋸歯)がある。
葉は分厚く、両面ともざらつく。
開花時期は8~10月くらいである。
茎先に5~10輪くらいの花(頭花)をつける。
花は筒状花のみからなり、花径1センチくらいで黄色い。
総苞(花序全体を包む葉の変形したもの)は筒状である。
花の後にできる実はそう果(果実の中に1つだけ種子があり開かない)で、冠毛は長い褐色である。
属名の Arnica はラテン語の「arnica(子羊)」からきている。
種小名の mallotopus は「mallotos(長い軟毛のある)+pous(足)」からきている。花柄に長い軟毛がたくさん生えることから名づけられた。
写真は8月に志賀高原の東館山高山植物園で撮った。
学名:Arnica mallotopus
★ひっそりと隠れるように丁子菊
見つけてみれば不思議の姿
花図鑑
植物図鑑
黄花瓔珞(キバナヨウラク)はクマツヅラ科キバナヨウラク属の常緑低木である。
分類体系によってはシソ科とされる。
原産地はフィリピン、ミャンマー、タイである。
樹高は3~5メートルくらいである。
半蔓性で枝には棘があり、横に張る性質がある。
葉は卵形で、向かい合って生える(対生)。
開花時期は5~11月くらいである。
垂れ下げた褐色の苞の下に黄色い筒状の花をつける。
花の後にできる実は核果(水分を多く含み中に種が1つある)である。
「瓔珞」は古代インドの貴族の装身具のことで、仏具の飾りの名称としても用いられる。
属名の Gmelina はドイツ人の博物学者「グメリン(J. G. Gmelin)さん」の名からきている。
種小名の hystrix は「ヤマアラシのような刺毛のある」という意味である。
写真は4月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。
学名:Gmelina hystrix
★面白い形の花もあるものと
感じ入り見る地球の広さ
花図鑑
植物図鑑
金水引(キンミズヒキ)はバラ科キンミズヒキ属の多年草である。
北方領土を含む北海道から九州にかけて分布し、林の縁や山道沿いなどに生える。
海外では、サハリン、朝鮮半島、中国、インドシナ半島などにも分布する。
中国名を龍牙草という。
タンニンを多く含み、下痢止めなどの薬草になる。
和名の由来は、黄色い小さな花をつける穂を熨斗袋(のしぶくろ)につける金色の水引に見立てたものである。
似たような命名では、タデ科に赤い花穂をつける水引(ミズヒキ)がある。
草丈は30~90センチくらいである。
葉は奇数羽状複葉(鳥の羽のように左右に小葉がいくつか並び、先に1つの小葉がついて1枚の葉が構成される)で、互い違いに生える(互生)。
小葉の形は楕円形である。
小葉の縁には鈍いぎざぎざ(鋸歯)があり、裏面には腺点(蜜などの粘着物質を出す腺が突起したもの)がある。
開花時期は7~10月である。
茎の先に細長い穂状の総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、黄色い小さな5弁花をたくさんつける。
花びら(花弁)は丸みがある。
萼片も5枚ある。
雄しべは12本である。
花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
実には長さ3ミリくらいの棘がたくさんあり、動物などにくっついて散布される。
属名の Agrimonia はギリシャ語の「argemone(アザミゲシ属)」からきている。棘が多くて似ているためだが、転用する際に綴りを間違えたという。
種小名の pilosa は「軟毛のある」という意味である。
変種名の japonica は「日本の」という意味である。
写真は8月に北大植物園で撮った。
学名:Agrimonia pilosa var. japonica
★ぶら下げた花の穂黄金に輝いて
金水引は夏の野飾り
花図鑑
植物図鑑
黄花オランダ千日(キバナオランダセンニチ)はキク科オランダセンニチ属の多年草である。
原産地は南アメリカである。
日本へは明治時代の初期に渡来した。
観賞用、薬用、香辛料として栽培されている。
草丈は30~40センチくらいである。
茎は根元からよく枝分かれをする。
葉は濃緑色をした卵形で、向かい合って生える(対生)。
葉の縁には浅いぎざぎざ(鋸歯)がある。
開花時期は7~9月である。
楕円形をした黄色い花(頭花)をつける。
花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。
辛味成分のスピラントールを含むが、その含量はオランダ千日(オランダセンニチ)よりも高い。
花、葉を香辛料として用いるほか、食欲増進剤などに用いられる。
属名の Spilanthes はギリシャ語の「spilos(まだら)+anthos(花)」からきている。この属に花床に斑点のあるものがあることから名づけられた。
種小名の oleracea は「食用蔬菜の」という意味である。
写真は7月に東京都薬用植物園で撮った。
学名:Spilanthes oleracea
★不思議なる花の形は楕円形
咲いているのと首をかしげて
花図鑑
植物図鑑
カナダ秋の麒麟草(カナダアキノキリンソウ)はキク科アキノキリンソウ属の多年草である。
原産地はカナダの東北部で、空き地や道端などに生える。
日本でも園芸用に栽培されるものが逸出し野生化し、北海道や本州北部に分布している。
草丈は40~120センチくらいである。
茎は硬く、直立をする。
葉は披針形で、互い違いに生える(互生)。
葉の先は尖り、縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。
開花時期は7~9月である。
茎先に円錐花序(枝分かれして全体が円錐状に見える)を出し、黄色い小さな花(頭花)をたくさんつける。
花は真ん中に筒状花があり、周りに舌状花がつく。
花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。
属名の Solidago はラテン語の「solidus(完全)+接尾語の ago(状態)」からきている。この属のある植物の傷薬としての評判からきたものと思われる。
種小名の canadensis は「カナダの」という意味である。
写真は9月に北大植物園で撮った。
学名:Solidago canadensis
★目の前の利益に走る手軽さが
自然破壊の火種を生んで
花図鑑
植物図鑑
オランダ千日(オランダセンニチ)はキク科オランダセンニチ属の多年草である。
原産地は南アメリカである。
日本へは江戸時代の後期に渡来した。
本来は多年草だが、耐寒性が弱いため園芸上は一年草として扱われる。
草丈は30~40センチくらいである。
葉は卵形で、向かい合って生える(対生)。
縁には浅いぎざぎざ(鋸歯)がある。
葉には山椒(サンショ)のような刺激的な風味があり、香辛料とする。
開花時期は7~9月である。
筒状花だけからなる卵形をした緑黄色の花(頭花)を咲かせる。
花の後にできる実は扁平なそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。
頭花にはスピラントールという辛味成分を含み、リウマチ、痛風の薬になる。
和名の由来は、センニチソウ(千日草)に似ていてオランダから伝わったということからきている。
属名の Spilanthes はギリシャ語の「spilos(まだら)+anthos(花)」からきている。この属に花床に斑点のあるものがあることから名づけられた。
種小名の acmella は「(元属の名)辛い」という意味である。
写真は7月に東京都薬用植物園で撮った。
学名:Spilanthes acmella
★不思議なる花の姿が可愛いと
オランダ千日人気を呼んで
花図鑑
植物図鑑
大雁首草(オオガンクビソウ)はキク科ガンクビソウ属の多年草である。
北海道から本州の中部地方にかけて分布し、山地の林の中などに生える。
海外では、朝鮮半島や中国の東北部にも分布する。
草丈は50~100センチくらいである。
茎や葉には毛が多い。
葉は卵状の楕円形で先が少し尖り、互い違いに生える(互生)。
開花時期は8~10月くらいである。
枝分かれした茎先に黄色い頭花をつける。
花径は3~4センチほどあり、並外れて大きい。
下を向いているものが多いが、上を向いているものもある。
頭花のつけ根には苞葉がたくさんある。
頭花はたくさんの筒状花からなる。
花の後にできる実はそう果(果実の中に1つだけ種子があり開かない)である。
冠毛はなく粘液を出して付着し運ばれる。
サイズが大きいのでやつかいな「ひっつき虫」である。
ガンクビソウの名の由来は、花の様子をキセルの「雁首」に見立てたものである。
ガンクビソウに比べて花が大きいのでこの名前がついた。
属名の Carpesium はギリシャ語の「carpesion(蕎麦)」からきている。総苞片の様子が蕎麦に似るためと思われる。
種小名の macrocephalum は「頭の大きな」という意味である。
写真は8月に日光植物園で撮った。
学名:Carpesium macrocephalum
★異次元へ迷い込んだと錯覚す
大雁首草迫力の花
花図鑑
植物図鑑
大苦菜(オオニガナ)はキク科フクオウソウ属の多年草である。
「苦菜」の名がつくが、ニガナ属とは分類が異なる。
本州の東北地方から近畿地方にかけて分布し、限られた湿地に生える。
環境省のレッドリスト(2007)では、「現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては『絶滅危惧』に移行する可能性のある種」である準絶滅危惧(NT)に登録されている。
草丈は50~150センチくらいである。
葉は互い違いに生え(互生)、葉の柄には長い翼がある。
葉は羽状分裂をし、先の裂片が大きく、つけ根に近づくほど小さくなる。
葉の先は尖り、つけ根は茎を抱く。
葉の縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。
開花時期は8~10月である。
花径3~4センチくらいの大きな黄色い頭花は、数多い舌状花からなる。
花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。
属名の Prenanthes はギリシャ語の「prenes(下垂した)+anthos(花)」からきている。頭花のつき方から名づけられた。
種小名の tanakae は信州の植物を研究した「田中貢一さんの」という意味である。
写真は8月に日光植物園で撮った。
学名:Prenanthes tanakae
★堂々と花びら広げ大苦菜
湿原に咲く花美しく
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