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色別・月別の花図鑑です
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アレナリア・モンタナ

アレナリア・モンタナはナデシコ科ノミノツヅリ属の常緑多年草である。
夏の暑さには弱いので、園芸上は一年草扱いをする。
原産地はヨーロッパの南西部である。
ピレネー山脈からポルトガルにかけての山地に分布し、明るい林の中などに生える。
草丈は15~20センチくらいである。
匍匐してマット状に広がる。
葉は披針形で、向かい合って生える(対生)。
葉の質は厚くて艶がある。
開花時期は4~6月である。
茎先に花径2~3センチの白い5弁花をつける。
花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
流通名を山雪草(ヤマユキソウ)という。
属名の Arenaria はラテン語の「arena(砂)」からきている。この属の植物の多くが砂地に生えることからきている。
種小名の montana は「山の」という意味である。
写真は4月に京都府立植物園で撮った。
学名:Arenaria montana


★ピレネーと聞けば心も躍りだす
 山雪草の降り積むごとく


アレナリア・モンタナ

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姫茴香(ヒメウイキョウ)

姫茴香(ヒメウイキョウ)はセリ科ヒメウイキョウ属の越年草である。
原産地はヨーロッパである。
栽培の歴史は古く、石器時代の遺跡からも出土しているという。
ヨーロッパではハーブとして親しまれてきた。
英名はキャラウェイ(carraway)である。
日本へは明治時代に渡来した。
草丈は30~80センチくらいである。
葉は2回羽状複葉で、互い違いに生える(互生)。
羽状複葉というのは鳥の羽のように左右に小葉がいくつか並んで1枚の葉が構成されるもののことである。
それをもう一度枝分かれさせた先に羽状複葉をつけて1枚の葉となる。
小葉はさらに細かく裂けて糸状となる。
ニンジンの葉のような感じである。
開花時期は5~6月である。
茎先に複数の散形花序(たくさん枝が出て、先に1個つずつ花がつく)を組み合わせて出し、白い小さな花をたくさんつける。
花弁は5枚、萼片も5枚である。
雄しべは5本である。
花の後にできる実は分果(複数の子房からできた果実)で、2つのブロックからなる。
葉、根、種子がエッセンシャルオイルや香辛料などに利用される。
また、種子は生薬名を葛ずい子(かつずいし)といい、鎮痙、去痰剤とされる。
属名の Carum はラテン語の「caron(頭)」に由来するキャラウェイの古代のラテン名(careum)からきている。花序ないし実の形を表したものとされる。
種小名の carvi は「キャラウェイ」のことである。
写真は5月に東京都薬用植物園で撮った。
学名:Carum carvi


★西欧の歴史に深くかかわった
 姫茴香の花の香を嗅ぎ


姫茴香(ヒメウイキョウ)

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霧島海老根(キリシマエビネ)

霧島海老根(キリシマエビネ)はラン科エビネ属の多年草である。
日本固有種である。
本州の近畿地方から九州にかけて分布し、山地の林の中に生える。
乱獲によって個体数を著しく減らしている。
環境省のレッドリスト(2007)では、「ⅠA類ほどではないが、近い将来における絶滅の危険性が高い種」である絶滅危惧IB類(EN)に登録されている。
草丈は20~40センチくらいである。
茎には短い毛がわずかに生える。
葉は長さが15~30センチくらいの長い楕円形で、根際に2~3枚がつく。
葉は海老根(エビネ)よりも細い。
葉の柄は比較的長く、葉の先は尖り、裏面には短い毛が生える。
開花時期は4~5月である。
茎先から総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、白い小さな花を10~15輪くらい垂れ気味につける。
花は全開はせず、花の色は淡い紅色を帯びるものもある。
唇弁は扇状の三角形で、先は3つに裂ける。
真ん中の裂片と脇の裂片は、先が浅く裂ける。
距は萼片より長く、長さは15ミリくらいである。
花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
属名の Calanthe はギリシャ語の「calos(美)+anthos(花)」からきている。
種小名の aristulifera は「小さい芒(のぎ)のある」という意味である。
写真は5月につくば植物園で撮った。
学名:Calanthe aristulifera


★鈴蘭を思わすような咲き姿
 霧島海老根は薄紅帯びて


霧島海老根(キリシマエビネ)

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ザルジアンスキア・オバタ

ザルジアンスキア・オバタはゴマノハグサ科ザルジアンスキア属の多年草である。
原産地は南アフリカである。
草丈は20~30センチである。
葉は披針形で、向かい合って生える(対生)。
葉の縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。
開花時期は4~6月である。
花径は2センチくらいで、花冠は5つに深く裂け、裂片は先が更に2つに裂けてハート形となる。
花の色は裏面が紅紫色で、表面は白い。
昼間は半開きで、夜になると開いてよい香りがする。
花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
英名はナイトフロックス(night phlox)である。
フロックスは芝桜(シバザクラ)の仲間のことであるが、花が開いている時の様子はよく似ている。
属名の Zaluzianskya はプラハの植物学者「ザルジアンスキー(A. Zaluziansky von Zaluzian)さん」の名からきている。
種小名の ovata は「卵円形の」という意味である。
写真は3月に鎌倉の収玄寺で撮った。
ムーンライトフラグランス(Moonlight Fragrance)という園芸品種である。
学名:Zaluzianskya ovata


★花びらが開いていても閉じてても
 姿可愛いナイトフロックス


ザルジアンスキア・オバタ

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車葉草(クルマバソウ)

車葉草(クルマバソウ)はアカネ科クルマバソウ属の多年草である。
北海道から本州にかけて分布し、平地や山地の道端や林の中などに生える。
海外では、北半球に広く分布する。
草丈は10~30センチくらいである。
茎は直立をし、断面は四角形である。
葉は細長い楕円形で、6~10枚くらいが輪生する。
葉の縁にぎざぎざ(鋸歯)はなく、葉の先は尖る。
葉には柄はなく、葉の縁や葉の裏面の葉脈上には毛が生える。
開花時期は5~6月である。
茎の上部に白い小さな花を数輪つける。
花径は3~5ミリくらいである。
花は漏斗形で、先が十字状に深く4つに裂ける。
雄しべは4本である。
花の後にできる実は球形の分果(複数の子房からできた果実)で、2つのブロックからなる。
実には鉤状の棘があり、衣服などについて運ばれる。
全草にクマリンという芳香成分を含む。
このため、ヨーロッパではビールやワインの香りづけに利用される。
また、衣服の防虫剤としても利用される。
和名の由来は、葉の様子を牛車の車輪に見立てたものである。
属名の Asperula はラテン語の「asper(粗面)」の縮小形である。葉面がざらつくことから名づけられた。
種小名の odorata は「よい香りのする」という意味である。
写真は6月に上高地で撮った。
学名:Asperula odorata


★いつの日か花に会おうと追いかけて
 とうとう見たよ十字の姿


車葉草(クルマバソウ)

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九輪雪筆(クリンユキフデ)

九輪雪筆(クリンユキフデ)はタデ科イブキトラノオ属の多年草である。
本州から九州にかけて分布し、山地の林の中に生える。
海外では、朝鮮半島や中国にも分布する。
草丈は15~35センチくらいである。
根際から生える葉には長い柄があり、卵心形で先が尖る。
茎につく葉は細長い心形で先は尖り、互い違いに生える(互生)。
茎につく葉には柄はなく、茎を抱く。
開花時期は5~6月である。
茎先に長さ1~3センチくらいの筆先のような穂状花序(柄のない花が花茎に均等につく)を出し、白い小さな花をたくさんつける。
また、葉の脇にも短め目の花序をつける。
1つの花の花径は3ミリくらいである。
花弁はなく、萼片が5枚ある。
8本の雄しべが萼から飛び出る。
雌しべは3本である。
花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。
和名の由来は、白い花を「雪」に、花穂を「筆」に見立て、何段にも咲く様子を仏塔の「九輪」に見立てたものである。
花穂の様子は春虎の尾(ハルトラノオ)と似ている。
属名の Bistorta はラテン語の「bis(二重)+tortus(捩れ)」からきている。根茎の形から名づけられた。
種小名の suffultum は「助ける(亜)」という意味である。
写真は5月につくば植物園で撮った。
学名:Bistorta suffultum


★美しい名前に負けず咲くのだと
 九輪雪筆けな気な姿


九輪雪筆(クリンユキフデ)

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香母酢(カボス)

香母酢(カボス)はミカン科ミカン属の常緑低木である。
漢字では「臭橙」とも書く。
柑橘類の1つで、大分県の特産物である。
柚子(ユズ)の近縁種だが、実は一回り大きい。
樹高は2~4メートルくらいである。
枝には鋭い棘がある。
葉は楕円形で、互い違いに生える(互生)。
開花時期は5~6月くらいである。
ミカン科特有の白い5弁花をつける。
収穫時期は11月から冬にかけてである。
花の後にできる実は柑果(多心皮性の液果)である。
熟すと黄色くなるが、緑色のうちに収穫する。
多汁で酸味が強く、果汁を搾って食用とする。
属名の Citrus はレモンに対する古い呼び名である。
種小名の sphaerocarpa は「球形果の」という意味である。
花の写真は5月にJAあゆみ野安行園芸センターで撮った。
実の写真は12月にJAあゆみ野安行園芸センターで撮った。
学名:Citrus sphaerocarpa


★花見ても違いはあまりわからぬが
 まろやかな香り思い出しつつ


香母酢(カボス)

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エレオカルプス・グランディフロルス

エレオカルプス・グランディフロルスはホルトノキ科ホルトノキ属の常緑高木である。
中国の南部からインドにかけて分布する。
英名はリリーオブザバレーツリー(lily of the valley tree)である。
訳すと「谷間の百合の木」ということになる。
中国名は「大花杜英」である。
樹高は20~30メートルである。
葉は細長い楕円形で、互い違いに生える(互生)。
葉の縁は波打つ。
開花時期は冬から春にかけてである。
葉の脇から総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、白い小さな花をたくさんつける。
花弁は5枚で、先がフリルのように裂ける。
萼片は5枚で、鮮やかな紅色である。
花の後にできる実は液果(果皮が肉質で液汁が多い実)である。
オーストラリア原産のエレオカルプス・アングスティフォリウス(Elaeocarpus angustifolius)とシノニムという記述も見かけるが、Wikipediaでは別の扱いになっていてはっきりしない。
属名の Elaeocarpus はギリシャ語の「elaia(オリーブ)+carpus(果実)」からきている。オリーブに似た実がなることから名づけられた。
種小名の grandiflorus は「大きな花の」という意味である。
写真は6月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。
学名:Elaeocarpus grandiflorus


★美しい花の姿に驚くよ
 化身のごとく南国に咲き


エレオカルプス・グランディフロルス

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枳殻(カラタチ)

枳殻(カラタチ)はミカン科カラタチ属の落葉低木である。
漢字では「枸橘」とも書く。
原産地は長江の上流域で、日本へは8世紀ころに伝わったとされている。
生け垣に使われたり、ミカン類の台木に使われたりしている。
樹高は2~4メートルくらいである。
枝には鋭い棘がある。
葉は互い違いに生え、3枚1組の小葉からなる複葉である。
小葉の形は楕円形ないし倒卵形で、周りには細かなぎざぎさの鋸歯がある。
葉の柄には翼がある。
開花時期は4~5月である。
葉の出る前に花が咲く。
白い5弁花である。
花の後に球形の緑色をした柑果(多心皮性の液果)をつける。
実は秋から冬にかけて熟し、オレンジ色になる。
実は酸味や苦味があって食用にはならないが、薬用にされたり果実酒の材料にされたりする。
生薬名は枳実(きじつ)といい、健胃剤とされる。
和名の由来は、唐の国から来た橘の意味で、それが縮小された。
俳句では「枸橘の花」が春の季語である。
属名の Poncirus はミカンの1種のフランス名 poncire からきている。
種小名の trifoliata は「三葉の」という意味である。
花の写真は4月に板橋区立赤塚万葉薬用園で撮った。
実の写真は10月に板橋区立赤塚万葉薬用園で撮った。
学名:Poncirus trifoliata


★歌に聞く枳殻の花目の前に
 手を差し出せば棘に阻まれ


枳殻(カラタチ)

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岩雪の下(イワユキノシタ)

岩雪の下(イワユキノシタ)はユキノシタ科イワユキノシタ属の多年草である。
日本固有種である。
本州の神奈川県から紀伊半島にかけてと四国に分布し、山地の湿り気の多い岸壁に生える。
草丈は10~20センチくらいである。
根茎は横に這う。
根際から生える葉は幅の広い卵形で、粗い毛の生えた長い柄がある。
葉の先は尖り、縁には粗いぎざぎざ(鋸歯)がある。
葉のつけ根の部分は心形である。
開花時期は5~6月である。
雌雄異株である。
茎先に円錐花序(下のほうになるほど枝分かれする回数が多く、全体をみると円錐形になる)を出し、白い小さな花をたくさんつける。
花弁はなく、萼片が5枚である。
花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
属名の Tanakaea は明治時代の博物学者「田中芳男さん」の名からきている。
種小名の radicans は「根を出す」という意味である。
写真は4月に京都府立植物園で撮った。
学名:Tanakaea radicans


★めずらしい花を集めた野草展
 岩肌に咲く花も我が目に


岩雪の下(イワユキノシタ)

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